こらからの商業、リアル店舗を考える上で、「これまで」を見てきました。
今回は、スーパーマーケットについてです。
スーパーマーケットの誕生
日本のスーパーマーケットはどのように発生してきたのでしょう。
一般的には、1953年(昭和28年)に東京・青山に開店した紀ノ国屋だと言われています。
紀ノ国屋は1910年(明治43年)、青山の地で、果物商としてスタートしました。
1953年(昭和28年)にお客様自ら商品を選び、レジで精算するという形のスーパーマーケットをはじめたのです。
(株式会社紀ノ國屋のHPより)
ただ、扱っている商品は青果のみだったそうです。
そして、セルフサービス形態の導入にはレジスタ会社の日本NCRの協力があったとも言われています。
日本NCRはレジスターの販売だけでなく、アメリカの小売状況に基づき、日本の小売業の近代化にも果たした役割は大きかったようです。
ちなみにスーパーマーケットという看板を最初に掲げたのは「京阪ザ・ストア」でした。
京阪電気鉄道(京阪)の直営店舗だった「京阪スーパーマーケット」が大阪・京橋で1952年(昭和27年)に開業しました。
しかしながら、対面販売で今のスーパーマーケットの形態ではなかったようです。
現在のスーパーマーケットのスタートは
皆さんのまわりにたくさんのスーパーマーケットがあるでしょう。
でも、最初からスーパーマーケットではなかったのですよ。
東京で展開しているいくつかのスーパーマーケットを調べてみました。
◆ マルエツ
1945年(昭和20年) 魚悦商店を埼玉県浦和市(現・さいたま市)にて創業
1952年(昭和27年) 有限会社魚悦商店設立
1959年(昭和29年) 有限会社丸悦ストアーに商号変更
1965年(昭和40年) セルフサービスの1号店「大宮店」開店
(出典:株式会社マルエツのHPより)
マルエツは魚の販売からスタートしたのですね。
(マルエツのマークが魚に見えてきました。)
で、スーパーマーケットをはじめるのは、1965年(昭和40年)からです。
◆ ヤオコー
1890年(明治23年)埼玉県小川町に青果商「八百幸商店」として創業。
1958年(昭和33年)セルフサービス方式のスーパーマーケット。
1972年(昭和47年)チェーン店化1号店、小川ショッピングセンター店開店。
1974年(昭和49年)有限会社から株式会社へと改組し、ヤオコーに改称。
(出典:株式会社ヤオコーのHPより)
◆ いなげや
1890年(明治23年)「稲毛屋魚店」を東京・立川に開業。
それ以前は行商(大八車で塩干物の引き売り)。
1948年(昭和23年) 立川北口店開店、株式会社稲毛屋を設立。
1956年(昭和31年) 立川北口店にセルフサービス方式を導入。
都下では最初のスーパーマーケットを開始
1959年(昭和34年) 多摩平店を開店し、チェーン展開を開始。
(出典:株式会社いなげやのHPより)
いなげやは、魚屋、しかも行商からのスタートだったのですね。
◆ ライフ
1911年(明治43年) 創業
1956年(昭和31年) 清水実業株式会社を設立し、食料品販売を行う。
1961年(昭和36年) 大阪・豊中市にセルフサービス方式の豊中店を開店。
スーパーマーケット化。
1963年(昭和38年) 塚本店を開店し、チェーン展開をはじめる。
(出典:株式会社ライフコーポレーションのHPより)
こちらも食料品販売のお店からのスーパーマーケット。・チェーン展開のようです。
創業とあるのは、ライフの創業者の清水信次氏の家業(食品取扱店)のことと推測します。
◆ サミット
1963年(昭和38年) 住友商事(株)が米国セーフウェイ社の指導により、(株)京浜商会(サミットの前身)を設立。
1963年(昭和38年) 東京都世田谷区に食品スーパーの1号店野沢店を開店。
(出典:サミット株式会社のHPより)
サミットのスタートは住友商事が作ったのですね。
これまでとは違いますね。
◆ ヨークマート
1975年(昭和50年)(株)イトーヨーカ堂100%出資により設立
1976年(昭和51年) 1号店勝田台店開店
(出典:株式会社ヨークのHPより)
ヨークマートも出自がことなりますね。
総合スーパー(GMS)を展開しているイトーヨーカ堂から食品部門が分社化されてできたいったようです。
スーパーマーケットの誕生とチェーン化の背景?
これまで見て来たスーパーマーケットは、青果店、魚屋、食料品店としてスタートしています。
そして、1960年前後にセルフサービス方式を導入し、その後チェーン展開をはじめています。
最初からスーパーマーケットの展開を意図したサミットやイトーヨーカドーの食品部門の店舗として作られたヨークマートは出自が違うようですけど。
それでもやはり1960年代以降に展開をはじめています。
百貨店はどうだったでしょう。
以前書きましたが、1905年(明治38年)に三越がデパートメントストア宣言を行って、座売りから陳列販売に移行をはじめています。
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スーパーマーケットは、1953年(昭和28年)の紀ノ国屋だとすると、ずいぶん遅い感じがしますね。
スーパーマーケットが受入られる背景があったのでしょう。
それまでとどのような社会の変化があったのでしょう?
それは、、、
次回ということで。
と、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
酷暑、ゲリラ豪雨などの不安定な天気、加えてコロナ禍。
皆様、身体と心の健康、どうぞご自愛ください。
2022年7月6日(水)