「ウサギの彫刻」に100億円!? 現代アート高騰の舞台裏 - NHK クローズアップ現代+
現代アートの現在について取り上げていた。
欧米、中国での積極的な取組み、日本での投資額の少ないなど。
日本においては、アーティストへのサポートが弱く、一人ひとりが美術館に行きだけで、その支援になるとのようなことと理解した。
これに関しては全く異論はない。
アーティストは、パトロンなり、何かの支援が無いと活動ができない。
そのために、若手をはじめ、多種多様なアーティストの活躍の場を官だけでなく、民間や地域コミュニティなどにおいて機会を設けることは大切なことであると思う。
しかし、番組を見ていて違和感があった。
一つは、購入する側の問題である。
「100億円のウサギの彫刻」と話題性のある事例に言及するのではない。
購入する者が、現代アートのパトロンとしての役割を果たそうとしているのなら、それは方法が違うのでないかという点である。
活動の場や発表の機会を設けるのも十分な支援でもある。
現代アートの美術館に類するものをつくるのもあるだろう。
100億円で現代アートを購入するということについて、購入者の真意は私はわからない。
憶測であるが、資産の運用の手段として使っているのではないかという懸念である。
世界の富の集中が色々な社会問題を引き起こしているのは間違い事実であると思う。
一部の者が世界の大部分の富を保有していることから引き起こされる、貧困層の存在。
そして、貧困の連鎖。
それが、将来への希望を持てない者の増大、閉塞感の蔓延。
それが不安定な社会に繋がっているのではと思ったりする。
もう一つは、アーティスト側の視点、思いである。
アーティストは、金儲けのために活動を行なっているのだろうか。
100億円で落札されても、アーティストには一部しか実入りはない。
でも高額になるのは確かである。
本来、アーティストは、自分の感性を表現することが目的で生きているのではないか。(アーティストではない、私の私見であるが)
もしそうだとすると、アーティストを取り巻く者の材料にされ、自分を表現出来ない状況置かれるとか、一部のアーティストのみが脚光を浴びてしまう状況は如何なものかと思うわけである。
アーティストは、自分の活動する場と時間を持て、自分の作品を発表する機会を得ることを求めているのではないか。
そして、自分の作品が他者から共感と感動を得られことを生きる糧としているのではないか。
以上のことから、NHKの今回の番組を見て、私は、違和感を覚えた次第である。
現代アートの重要性は理解できるし、そのためにアーティストたちが活動しやすい環境を作ることの必要性も理解しているつもりである。
だからこそ、100億円で落札というのは、何か違うような気がするのである。