昨年の初めから、白石一文の本を読み続けてきた。
きっかけは、ある人から教えてもらい、まず、1冊読んでみた。
初期の作品であった。
ストーリーの奇抜さやこの先どう続くのだろうというワクワクさは、感じなかった。
しかし、主人公の人間性がとても惹かれた。
その後、何冊も読むこととなった。
そして、これまでに読了したのは以下のとおり。
『一瞬の光』(2000年、文庫化)
『不自由な心』(2001年、文庫化)
『すぐそばの彼方』(2001年、文庫化)
『僕のなかの壊れていない部分』(2002年、文庫化)
『草にすわる』(2003年、文庫化)
『見えないドアと鶴の空』(2004年、文庫化)
★『私という運命について』(2005年、文庫化)
★『もしも、私があなただったら』(2006年、文庫化)
『どれくらいの愛情』(2006年、文庫化)
『永遠のとなり』(2007年、文庫化)
『心に龍をちりばめて』(2007年、文庫化)
『この世の全部を敵に回して』(2008年、文庫化)
『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』(2009年、文庫化)
★『ほかならぬ人へ』(2009年、文庫化)
『砂の上のあなた』(2010年、文庫化)
『翼』(2011年、文庫化)
⭐︎『幻影の星』(2012年、文庫化)
『火口のふたり』(2012、文庫化)
『快挙』(2013年、文庫化)
☆『彼が通る不思議なコースを私も』(2014年、文庫化)
★『神秘』(2014年、文庫化)
『愛なんて嘘』(2014年、文庫化)
『光のない海』(2015年、文庫化)
★『記憶の渚にて』(2016年、文庫化)
『ここは私たちがいない場所』(2019年、文庫化)
★⭐︎は、私的には、特に強く感じた作品である。
初期の作品に共通するのは、主人公は自分を探し、生き続ける。
自分というのは、どのような存在なのか?
今の自分は、どのように形成され、どこに行こうとしているのか。
そして、自分はどう生きるべきなのか。
そんな思いで生きて、最後は破滅に向かって進んでいく。
そんな風に私には感じられた。
どのあたりの作品からだろう。
『幻影の星』あたりからかな。
作風が変化したように思えた。
人間そのものに対する疑問。罪。
自然、時間、人。
すべてが大きな流れの中で生かされている、そんな哲学書とも取れるように思えた。
自分一人では、争い難い何かが存在する。
それは、自分の血であり、時間であり、心であり、すべてが、何かに動かされ生きている。
自分が選んで生きているようで、実はそうではない。
人間の限界やあるいは不思議な能力。
天変地異もすべてが誰かが描いた筋書きの上を人間は動かされ、生かされている。
人間そのものに対する問いかけであり、
生きることの意味を問いかけているように思えた。
私の個人的な感想である。
でも、白石作品は、果てしなく深い問いかけをしてくれる。
初期の作品も勿論いい。
でも、今の私には、ここ数年の白石作品が違った響きを与えてくれる。